生まれ育った熊本を拠点に、タレント・お笑い芸人として活躍する山内要さん。
2017年に「ファミーユ専属終活アドバイザー」に就任後は、終活セミナーやバスツアー、終活落語といったさまざまな企画を通じて、家族や地域の絆を結び、人生に向き合う機会をサポートし続けています。憧れの東京でお笑いの道に進み全力疾走した20代、上京前に勤務していた葬儀会社での仕事を振り返っていただきながら、今現在の「終活」にまつわる取り組みや、そこにある思いを語っていただきました。
ある時は山内要、
またある時は慶徳二郎として、
終活をお手伝い
熊本市で生まれ育ち、現在は熊本を拠点にタレント活動をしています。熊本のローカル番組では、地元のさまざまなスポットやイベント、お店を訪れ、その魅力をリポート。私が扮する演歌歌手の「慶徳二郎」は、熊本でおなじみの“ローカルスター”として、お笑いコンビ・千鳥さんの冠番組「千鳥のロコスタ」に出演し、光栄にも「熊本県に史上最強のロコスタ現る!?」とご紹介いただきました。
一方で、「家族葬のファミーユ 」の専属終活アドバイザーとしても活動。終活セミナーをはじめとするさまざまな企画で、熊本の皆さんが家族や地域との絆を深め、ご自身の人生と向き合っていただく機会をつくるお手伝いをしています。
少し変わった経歴だと思われるかもしれませんが、現在のタレント・お笑い芸人、終活にまつわる活動は、私の人生の集大成に近いものだと思っています。
NHK「オンバト」にも出演!
六本木のショーパブから
お笑いの道へ
21歳のときに都会への憧れから東京へ。六本木のショーパブでウエイターとして働きながら、「びゅんびゅん」というお笑いコンビを組んで、ステージに立つようになりました。そこで、萩本欽一さんや関根勤さんなどが所属する浅井企画というプロダクションの社長に声をかけていただき、お笑い芸人として活動。ショーパブやライブで芸を磨き、ネタ見せ番組の先駆けとされるNHKの「爆笑オンエアバトル」への出演も果たしました。
20代はとにかく「面白いお笑いを創りたい」「芸人として売れたい」という野心を抱いていました。でも「30歳までに売れなければ、熊本に帰ろう」という気持ちももっていたんですよね。ちょうど30歳になる頃にコンビを解散することになり、熊本に戻ろうかと考えていたタイミングで、熊本のテレビ局の新番組でリポーターを募集しているという情報を入手。東京から応募して、オーディションの日に合わせて帰郷しました。
先進的な「家族葬」や
「終活」を伝える
専属アドバイザーの道へ
東京のショーパブで働いたことがきっかけで、お笑いの道へ進んだわけですが、親に聞くところによると、子どもの頃から演芸に興味があったようです。熊本には「肥後にわか」と呼ばれる伝統的な喜劇があって、そこで活躍された芸人・ばってん荒川さんの舞台を町のお祭りやイベントなどでよく見ていたとか。自分自身ではあまり意識していなかったものの、お笑いの世界に憧れる原点は、熊本にあったのかもしれません。
2017年から始めた終活アドバイザーとしての活動には、地元の高校を経て3年間勤めた、葬儀会社での経験が生きています。今から30年以上前のことで、「終活」や「家族葬」という言葉もなかった時代です。当時の熊本ではまだ、自宅や地域の公民館での葬儀が一般的で、ご家族の負担が大きい印象がありました。
それが、東京で過ごした約10年の時を経て熊本に戻ってみると、「家族葬のファミーユ」が、それまでの葬儀の概念を覆すような「ご家族の意向を汲んだ、ご家族のためのご葬儀」を「家族葬」として提案されていて、新鮮な驚きを覚えました。
私が葬儀会社に勤めていた頃は、ご家族が葬儀のスタイルを選べるような選択肢はあまりなく、先進的な「家族葬」や「終活」といった取り組みが、果たして熊本で受け入れられるのだろうかと感じていたところもありました。ただ、熊本のローカルタレントとして「出張終活セミナー」や「終活バスツアー」などに起用していただき、自身の葬儀会社時代の話などもさせていただく中で、これからは家族葬が主流になる時代だと実感しました。
ファミーユの『「1日1組」貸切の家族葬ホール』は今や、熊本市内18カ所(2022年1月時点)に広がり、地元の皆さんの葬儀に関するさまざまな相談に寄りそい、コミュニティ活動も支援されている。テレビの番組やイベントなどで地元の皆さんと触れ合う機会が多い私にとって、ファミーユの地域に根ざした取り組みには共感できる部分が多く、専属終活アドバイザーとして活動するご縁をいただいたことを、とてもうれしく思っています。
熊本芸人初の「生前葬」や
「終活落語」で終活に親しみを
「家族葬のファミーユ」では、さまざまな企画にチャレンジさせていただいています。例えば、タレントとしては熊本で初めて、「生前葬」のセレモニーを執り行いました。「生きているうちに葬儀だなんて縁起が悪い」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、命あるうちに、家族や親族、友人や知人たちに、感謝の気持ちや気がかりになっていた思いなどを、自分の言葉で直接伝えられる機会ととらえることもできます。
私の生前葬は「感謝の会」としてご案内し、会葬者が集うホールに棺に入って入場。スライドで人生の思い出を振り返り、お一人ずつ献花をいただくとともに握手を交わすほか、友人やファン代表の方からメッセージをいただいたり、家族や親族に感謝の言葉を述べたりしました。
悲しみに満ちた一般的な葬儀とは違って、心が落ちつき、自然に笑みがこぼれるようなあたたかいセレモニーになりました。生前葬の様子はメディアで紹介されたこともあって、その後、多くのお問い合わせがあったと聞きます。
また最近では、アマチュアの噺家として活動してきた落語に、終活にまつわる題材を組み合わせた「終活落語」にも取り組んでいます。落語は登山に例えるなら、世界最高峰のエベレスト登頂に匹敵します。それほどの高みにある話芸で、もしかしたら途中で挫折してしまうかもしれない。それでも、登らずにはいられない魅力があり、チャレンジを続けてきました。私ならではの「終活落語」を発想した今は、さらなる極みを目指しています。
自分にとっては難しい課題でも、落語を通じてより多くの人たちに、終活に親しみと興味をもっていただけたらと思っています。2021年の春に初披露した終活落語は、より磨きをかけて熟成させて、いっそうわかりやすく、面白く進化していると自負しています。ぜひ、イベントやオンデマンド配信でお楽しみください。
「あなたの『終活』、
私のせいにしてみて」
終活にまつわるさまざまなイベントで、私が皆さんに一貫してお伝えしているのは、「難しい話は一切しません」ということです。そして、「終活の扉が並ぶロビーまでお連れしますので、その後はご自身に必要な扉を選んで開けてください」ともお話ししています。
なぜなら、「終活」は一括りに語れるものではなく、人それぞれにお悩みや不安があるからです。相続や財産分与に悩んでいる方もいれば、お墓の問題で困っている方もいる。親御さんに終活をすすめたいという方もいれば、ご自身の終活に備えたいという方もいる。まさに十人十色なんですね。
そうした中で私の役割は、葬儀会社での勤務経験や、お笑い芸人としての親しみやすさを生かして、楽しくわかりやすくお話しすることで、敬遠されがちな「終活」の垣根を下げることだと思っています。そして、一人でも多くの方が、それぞれの終活の扉を開けて、1歩でも半歩でも踏み出してくださることを願っています。
これまでたくさんのご家族の葬儀に携わってきましたが、「終活での事前の備えがあれば、大切な人とのお別れの時間をもっとゆっくりと過ごせたかもしれない」と感じることがよくありました。大切な人が亡くなってから、さまざまな雑事に追われることがないように、ご家族の皆さんが元気なうちから、終活について話し合う機会をもってほしい。そんな強い思いがあります。
終活というのはやってみると、「死」に向き合うだけでなく、「生」に向き合うことにもなります。人生の最後に備えることで、これからの人生を前向きに生きる力にもなるのです。疎遠になっている家族や親族がいる場合には、連絡をとるきっかけにもできます。
「自分からはなんとなく連絡がしづらい」と思う方は、私のせいにしてみてください。「熊本のテレビに出ている山内要があちこちで終活をすすめているから、ちょっと連絡してみたんだよ」と伝えてください。そんなふうに、私の存在を役立てていただけたら、タレント冥利に尽きますね。
山内要(やまうち・かなめ)さん
1972年生まれ、熊本県熊本市出身。熊本を拠点に、タレント・お笑い芸人としてテレビ、ラジオ、CM、イベントなどで活躍。NHK紅白歌合戦出場を夢見る演歌歌手「慶徳二郎」のキャラクターでも人気を博す。葬儀会社での勤務経験と、終活アドバイザーの資格を生かし、2017年に「ファミーユ専属終活アドバイザー」に就任以来、「終活」を通じた地域貢献活動に尽力している。